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初代お通宛て 信之書状

11月18日 おつう様

さなだ いつのかみより

お手紙にてお知らせいたします。折々のことを一筆申し上げます。
その後お元気にしていらっしゃいますでしょうか。私も今だに命を長らえていると申し上げます。
さてさて、我々はこのたび国替えの命令を受け引っ越す事になりました事を申し上げます。このお手紙が貴女様の御手に届く頃には川中島松代という所に移っている事でしょう。遠国でありながら都の周囲にも劣らないであろう場所です。ここは名所の多い場所でして、まずは『あかしの松の倉科の里』、ここは昔に西行法師が「信濃なる あかしの松のありながら なぞくらしなの里というらん」と歌を口ずさんだ伝わる場所です。その他にものぎわに近い『姨捨山』は名月の山で「更科の月」「田事(たごと)の月」と古来から歌に詠まれ、きりに花咲く井ノ上の山も、雪の降りそうな雲が晴れて行きそこから静かに現れる朝日山も、三国一の善光寺も、降れど積もらぬ淡雪の浅野と申す里々も、全てわれらの領土にございます。
それにしても、こうけん殿が御在世ならば貴女様と楽しみながら松代まで御下りしてくださいと申し上げる事が出来ましたのに、なんという事でしょう、このように成り果てた世の中で私と同等に昔の事を知り続ける人は死んでしまいました。朝も晩も涙ばかりを流しております。もはや国も町もそこに心が惹かれる事も楽しい事もございません。
どうかご推察くださってせめて可哀想だと想っていただきたく思っております。
申し上げたい事は山のようにございますがその思いは筆に残しておきます。

         かしこ
追伸
 
なおなお貴女様は昔から私を御存じでいらっしゃいますお優しいお人様でありますので心のままに書き綴ってしまい恥ずかしく思っております。もはやこんなつらい現実などいらないと考えてしまいますが子供の為と思い「露の命の消えぬほど(はかない命が終わるまで)」と思って世の中を渡っております。朝餉の煙のような心細さを(貴女様ならば)推し量ってくだされると思っています。

また申し上げます。私の元にはあまりあまり人材がおりませんので召し使う者共を少し都の人から欲しいと思っております。貴女様は肝煎(奉公人などを周旋する仕事)をなさっていらっしゃるのでとてもありがたく思っております。貴女様の御紹介で2~3人ほどこちらへ頂けませんか。気に入らない場合はまた京都へと送り返しますのでいいかげんな事をいう人では無いように頼み申し上げます。
いかに都の人であろうと、うつけものは嫌でございます。また、見た目の悪い者も嫌です。私が召し使う者が見苦しいと外聞が悪くなります。とにかく、貴女様が直接御覧になってぬるぬるとした人を選ばれることは無いと思います。

とにかく道硯と申す者の所で詳しく申し上げます。

この手紙は火にお入れ下さるようお願いいたします。とりとめもなく書き散らしたのでおかしな手紙になっております。
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